情報を収集する時代から、情報を吟味して取捨選択する時代へ【”情報発信者が誰であるか”が大事】

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今では、インターネットで大量の情報が手に入ります。

Z世代とかデジタルネイティブなどと言われる若年世代にとっては、物心ついた時からインターネット社会であって、簡単に情報が手に入るのが当たり前の世界です。

ググるだけでなく、InstagramやYouTube、Twitterなどを駆使し、最近ではVoicystand.fmClubhouseといった音声コンテンツまで登場し、情報にあふれている印象です。

(「社会人が教育に参加したらどうだろう」でチラッと話した内容です。)

また、幼稚園の子供が紙の絵本をスクロールしようする、なんて話を聞くくらい、デジタルデバイスの普及も急速に進んだ印象です。

私は今でも「携帯」って呼んでしまいますが、今どきは「スマホ」ですし、

もう数年でウェアラブルデバイス(スマートウォッチなど)やインプランタブル(埋め込み型)デバイスが当たり前になるかもしれません。

コンビニやスーパーで「インプラ払い」が使えるようになるかも。

デバイスや通信速度の改良に伴って、個人が容易に情報にアクセスでき、扱う情報量も増え、日々大量の情報にさらされて生活するようになりました。

情報

情報がカスタマイズされ、自身の興味・関心に合わせて新たな情報や広告を供給する仕組みがメジャーになっていることに気が付かれているのではないでしょうか。

情報のカスタマイズは受け取る情報の偏在を招き、個人間の情報格差を助長しているかもしれません。

例えば、趣味の領域について大量の情報を手に入れることができ、しかもその情報が正しいことを自身の経験・知識から判断できる一方、

その他の領域についての情報は自分で情報収集しない限り入ってこない環境になりつつあります。

また、自分にとって不快な情報は遮断することもできるので、自分に心地よく、都合の良い情報環境を作ることも容易です。

さて、ここで問題となるのが、自分の情報環境の範囲外であるけれど生活する上で必要となる情報をどのように入手するか、という点です。

もちろん先に紹介したGoogle検索やYouTube、Twitterなどで調べれば大量の情報を入手することができます。

ではその情報が正しいのか否か、この判断はどうでしょうか。

例えば、医療に関する情報を、医療従事者ではない方が正確に判断できるでしょうか。

私の親戚には医療従事者がいないので、親戚からはちょっとした疑問を含め医療に関することをよく聞かれます。

さすが情報社会だけあって、質問する前に事前にネットで調べているのですが、その内容がなかなか怪しいところが気になります…

怪しさのパターンは大きく2つで、

  • 自身の症状に対する治療として当てはまらない内容を細かく調べている(しかも対象が非常に限られたレアケースに対する治療)
  • 何の根拠もないトンでも医療に大きな期待を寄せている

前者のケースでは、診断学の基礎知識や広範な医学知識がないので仕方ないことだと思います。

調べて出てくる内容は裏を返せば皆に知ってほしい、新しい治療の広告が混ざっているので、正確に自分に合った治療内容にたどり着くのは難しいかもしれません。

後者のケースは、ズバリお金儲けが絡むような医療で、標準的な保険診療ではないのに、上手く広告を出しているので信じてしまうのです。

特に心身ともに弱っている方は、藁にもすがる思いで引き寄せられてしまうこともあるのでしょう。

 

では、何らかの症状に困っている方で、正確な情報を得たい場合はどうすればよいでしょうか。

病院やクリニックを受診するのが一番の近道です。

知人が何らかの症状に困っているなら、受診を勧めましょう

もう、これが王道だと思います。

病気に関することは、解決までになるべく時間をかけないこと(早期発見・早期治療)が重要なので、脇道にそれない方がいいのです。

 

それでも自分で何か調べたい方はどうすればよいか。

GoogleでもYouTubeでもいいのですが、ザックリと、こんな症状の時はこんな病気があり得るんだな、にとどめておくと良いです。

医療については、一生懸命調べても限界があるのです。

調べたい動機にもよると思いますが、安心材料を求めている場合は注意です。

そんな方は、「この症状の時はこの病気みたいだから、特に気にしなくていいな」と思いたい。

一方で医師の思考回路は「この症状はこの疾患っぽいけど、危ない疾患は・・・があるから除外しておきたい」と、最悪のケースを念頭おいているのです。

この、危ない疾患を全て調べ上げるのは難しく、安心したい考えで受診を先延ばしすると、早期発見が困難になってしまうのです。

逆に、調べたら危ない疾患が出てきて心配!という方、その気持ちのまま受診してください。

 

今回、「医療についての情報とどう向き合うか」という点についてお伝えしたかったことは以上です。

以下はおまけの話なので気になる方だけ読んでみてください。

 


ちょっと調べた結果、何の根拠もないトンでも医療や代替医療を含め、色々な治療方法が紹介されており、中には標準的な治療について「こんな治療には注意!」なんて紹介されていることもあるかもしれません。

本当に混沌としているな、と感じることがあります。

もう、どれを信じればいいんだろう。

エビデンスを重視する方であれば、その治療の元文献(一次情報)を調べて評価できるでしょう。

だた、ほとんどの方には難しいと思います。

文面から受ける印象や有名な意見であるかどうか、という判断基準だけだと、トンでも医療に引っかかってしまうことがあります。

 

医療自体も進歩していき、一昔前まで当たり前だったことが、今では行われていないこともあります。

病院やクリニックで行われている標準治療が他の治療よりも100%優れているとはいえないかもしれません。

しかし、標準治療と言われるようになるまでには、それなりの人員や労力、お金をかけて臨床研究を進め、統計学的処理を行った結果を集めることで「この方法がよさそう」と言われる、長い道のりを経ているのです。

よって、単なる思い付きや良い印象、個人または少人数の経験談よりは治療効果が期待できると考えられます。

患者さんの希望が「病気を治したい」ということであれば、医療従事者が力を合わせて希望を叶えたい。

だからこそ受診していただきたいと思うのです。

ただ、皆がみんな「治したい」という気持ちだけではないと思います。

例えば、もう年だから、辛い治療はしないでこのまま家で暮らしたい。

この場合は、治療方法があるとはいえ、本人や家族の意思を尊重する姿勢が大事だと思います。

また、「病気になってしまった恐怖から逃れたい」という気持ちが最優先であった場合はどうか。

この場合は、適切な治療で病気が治れば恐怖もなくなりますよ、とお伝えしたいのですが、このような方の一部が標準治療から逸れて行ってしまうことがあるのです。

正直残念に思うのですが、最優先にしていることが異なることが最終的な決断に反映されているのでしょう。

少なくとも素直に病気を治したいと思っている方だけは全員、医療従事者が考えるベストな治療を受けてもらいたい、それが私の願いです。

 

ということで、根拠のないトンでも医療に足元をすくわれないコツは何か。

当然内容を評価できればいいのですが、専門外の方には難しい。

簡単にできる方法はズバリ、その情報を「誰が発信しているのか」というところに注意することだと思います。

私自身もこの点注目しています。

厚生労働省や、国立衛生研究所(NIH)、国立補完統合衛生センター(NCCIH)、国立がん研究所(NCI)といった機関からの発信が信頼できるので、できるだけこのような情報を収集すると良いです。

また、個人が発信している場合はネットで調べれば、発信者が医師がどうかすぐに分かります。

医療情報で発信者が不明な場合は無視しましょう。

実は、医師であっても、標準から外れて変わった治療をしている人もいるので、この点は注意が必要です。

その医師が医学界で認められているのか、判断できるといいですよね。

この方法を紹介してみようかと思っています。

医師であれば全員知っているであろう方法ですが、看護師含めその他の医療従事者でもなじみがない方法も含まれます。

 

最近「note」を始めたので、ここから先の話はnoteの記事で紹介してみようと思います。

noteの記事:「情報を収集する時代から、情報を吟味して取捨選択する時代へ②【”情報発信者が誰であるか”が大事】

正直、ここまで調べなくても、医療に関しては受診した方が早いですよ。

あくまで、マニアックな話に興味がある方に向けた話になります。

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