USMLE STEP1を受験当日までの道のりを解説<医学科卒業生の苦労とは…>(2024年12月)
前回はまっさらな状態から受験のための手続きを進めていく途中までを解説しました。
ここから先も幾多の苦難が待ち受けていました。
これから受験する先生方の役に立てるよう、私が落ちた落とし穴を解説していきます。
受験のおさらいから。
USMLE受験のための情報を集めようとすると、ECFMG、IWA、OASISなど知らない単語がでてきます。
それぞれ、
ECFMG:Educational Commission for Foreign Medical Graduates
IWA:Interactive Web Applications
OASIS:On-line Applicant Status and Information System
ということですが気にしなくて良いです。
基本的にECFMGオンラインサービスにアクセスすればIWAやOASISにリンクしていて一通りの申請ができます。
IWAでは、
・USMLE/ECFMG識別番号の取得
・ECFMG認定申請書に記入し、公証のために身分証明書(様式186)をダウンロード
・USMLE® (United States Medical Licensing Examination®) ステップ1とステップ2の臨床知識(CK)を受験
・在籍する医学部が学生・卒業生であることを紙媒体で確認したい場合は、証明書(Form 183)にアクセス
・ECFMGの医学部への成績データ提供について読み、あなたの試験結果を医学部に提出しないよう要請
・USMLEのスケジューリング許可証にアクセス
・USMLEステップ1/ステップ2のCK受験資格期間の延長申請
OASISでは、
・連絡先情報の確認と更新
・財務口座の管理
・USMLEの出願状況と医学教育資格のモニタリング
・USMLEの結果にアクセスする
・ERASサポートサービスへのアクセス
・J-1ビザスポンサーシップのオンライン申請の医師部分を完了する
といったことができます。
さて、NotaryCamで公証を済ませたので受験の申請に先立って卒業生であることの証明をしていきます。
ECFMGオンラインサービスからFrom 183というものを完成させ、サインします。
私の大学はECFMG Medical School Web Portal (EMSWP) というものに登録されているため、あとの手続きは大学に任せればOKでした。
残念ながら大学からECFMGへのオンライン申請ができない(受験者が少ないのでオンラインの登録はしていないとのこと)ため、From 183、日本語の卒業証書(卒業証明書ではなく、卒業したときにもらうやつ)、英語の卒業証書に加え、EMS(国際スピード郵便)用の切手(3,900)を同封して大学へ郵送しました。
あとはECFMGよりScheduling numberが届くのを待つのみ、と思っていたが、なかなかメールが来ない…
1か月したところでECFMGに問い合わせたところ、大学からの書類がまだ届いていない(!?)とのことでしたが、間もなくEFCMGへ郵送完了した様子。
安心したのも束の間、ECFMGから謎のメールが…
( X) Official English translation of your degree certificate. Please note that the English-language certificate given by the medical school is not acceptable as an English translation.
はて
自分の大学は英文の卒業証書も渡されたので、そのまま提出したのだが。
さんざん問い合わせた結果、卒業証書の英訳には条件があり、
All translations submitted to ECFMG must:
- be a word-for-word translation of the original language document. An abstract or summary translation of the document is not acceptable.
という点で引っかかった様子。
ECFMGのサイトには、その他こまごました条件が記載されているので、確認してください。
ということで、ECFMGオススメの英訳業者”Straker Translations“へアクセス。
こんな感じで枠を埋めて提出すると、すぐに予算を含めたオーダー用メールが届くので、依頼します。
(私の場合は10,666円だった。円安が嫌になってきた。)
2日以内に完成品がメールされるので、ダウンロード。やっと英文卒業証書を手に入れました。
こんなことをしていたため、From 183の期限(作成してから1か月以内にECFMGで処理されなければならなかったはず)が切れてしまったため、改めてFrom 183を作成し、新卒業証書、3,900円分の切手とともに大学へ郵送。
ちなみに、卒業証書はオンラインサービスから登録できるようです。
念のため、オンラインでも登録し、再度ECFMGへ問い合わせると、
Please note that ECFMG® record show that your USMLE® Step 1 examination scheduling permit is currently available. You may login to the ‘Interactive Web Application (IWA)’ link under the ‘Online-Services’ section of our website, www.ecfmg.org to access it.
とのことで無事、Step 1 Scheduling PermitのPDFをダウンロードできました。
あとはPrometricのホームページからSchedule Appointmentし、本番当日へ向けて準備します。
試験前はUSMLEオリエンテーションでチュートリアルを見ておき、3ブロックほどの予行練習で操作方法を確認しておきます。
実際の試験はこの予行練習と同じ画面が表示されるので慣れておくと安心です。
試験2日前にPrometricからAppointment Reminderのメールが来るので確認します。
試験当日に必ず必要なものは、
・パスポート
・Scheduling Permitを印刷したもの
です。
また、長丁場に備えて食事と飲み物は持参した方がいいです。
9時開始であるが、30分前に到着しておくようアナウンスされているので注意。
15分のチュートリアルに加え、1時間の試験が7ブロック、および45分間の休憩。
チュートリアルはUSMLEオリエンテーションとほぼ同じなので、素早くスキップして1ブロックを開始すると休憩時間に加算できます。
よって、実質7時間の試験の間に1時間の休憩時間がある8時間の試験です。
各ブロック間に10分の休憩と考えると、買出しに行く時間はなさそうです。
試験室へ入室する前に、ホワイトボードのようなものとペンを渡され、Scheduling Permitに記載してあるCIN(Candidate ID #)を書き写します。
ポケットを裏返し、手首・足首を見せ、金属探知機にかけられたうえで、パスポート、ホワイトボード、ロッカーのカギのみを持って入室します。
入室の際にティッシュを希望すれば2枚もらえます。(私はホワイトボードを消すのに使いました)
マスクをして入室した場合は試験中に顎にかけるまでは調節できますが、マスクを外すことはできません。
ラベルをはがした水は部屋に持ち込めるます。入室前にキャップの裏側をチェックされます。
1時間の休憩時間をどのように配分するか練習しておくといいです。
自分はウィダー、お茶、コーヒーを準備し、各休憩の際に少しずつ摂取しました。
御茶ノ水ソラシティ会場の休憩スペースは小さい病院の待合室のような感じで長椅子がおいてあるだけです。(当日は天気が良く良い景色でした)
再入室のたびに身体チェックされるのでタイムロスに注意します。
各ブロック40問までとのことであったが、実際はすべてのブロックが40問であったため覚悟してください。
“Social Sciences: Communication and Interpersonal Skills”は6–9%とのことでしたが、割と多い印象を受けました。
1つのブロックにまとまっていることもあり、じっくり読んでいると時間を消費するので注意です。
そんなこんなで何とかUSMLE Step 1を終えました。
正答率6割ほどの手ごたえで、受かるか微妙な感じですが、開放感が上回ります。
銀座、新橋の夜は素晴らしいものとなりました。
以上、参考になれば幸いです。
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