新コロ対策について思うこと:ワクチンを打たないときのデメリットについて知っておいた方がいいよね
医療従事者以外へのワクチン接種がようやく広がってきました。
早く打ってほしい、ということで接種会場に行列ができている光景をニュースで見かける方も多いのでは。
一方、特に若年者の中でワクチンは打たない、という意見もちらほら耳にします。
既に接種した人の、「結構熱が出て大変だった」、「腕が痛くて全然動かせなかった」…といった体験談を耳にして不安を感じることもあるでしょう。
実際に私が勤務している病院でも、熱が出て辛い、ちょっと休みたい、という方も少数出てきたのは事実。
ただ、私のようにほぼ無傷で事を終えた人が大勢であること、接種を終えた今、医療従事者が普段通り働いているのも事実です。
この手の不安を抱いている方には、接種した日から解熱鎮痛剤を飲み始めると症状軽くて済みますよ、とお伝えしておきます。
ワクチン接種体験談を書いたので参考にしてみてください(【速報】新型コロナワクチンを2回接種した結果どうなった?<個人の感想+ワクチンに関する情報>)。
さて、今回取り上げたいのは、よく聞くもう一つの不安について。
ワクチンの副作用が将来に与える影響が心配
ということ。
結論からいうと、
多分問題ないけど、絶対大丈夫とは言えない
そりゃそうですよね。
個人差のあるヒトの体に対し、「絶対」はない医学の領域からアプローチするわけですから。
ましてや新コロなんて人類が初めて遭遇しているわけで、わからないことだらけです。
しかも今回のワクチンは何やら聞きなれない「メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン」。
わからないことだらけで余計に不安ですよね。
そんな不安を少しでも軽減するために、まずは今回のワクチンについて説明します。
メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンって?
このワクチン、実にうまく作られているんですよね。
ウイルスが体内に入ってきた場合、免疫細胞に食べられます。
食べたウイルスの断片を他の免疫細胞に覚えさせ、この断片を持っているウイルス専用の抗体を作ります。
この抗体がつくれるようになると、次回同じウイルスが入ってきたときに素早く、激しく戦えるようになるのです。
「生ワクチン」って聞いたことがあるかもしれませんが、これは弱らせたウイルスそのものを接種します。
ウイルスそのものが入ってくるので、先ほどの免疫機構が働いて抗体が作れるようになります。
ただ、ウイルスをバラバラにして感染できない状態にしたものを入れても免疫細胞に食べられて抗体が作れるようになるよね、ということでできたのが「不活化ワクチン」。
で、今回のmRNAワクチンは、ウイルスのごく一部のみでも抗体が作れるようになるよね、という発想なのです。
ぶっちゃけ新コロの表面にいるタンパク質に対して抗体ができればそれで充分、ということ。
ウイルスの遺伝子であるRNAのうち、そのタンパク質を作るための僅かな部分のみを取り出してワクチンにしたのです。
ウイルスそのままや、バラバラにしただけのワクチンより随分オシャレですよね。
無駄がなくて洗練された印象です。
「mRNA」なんて聞きなれない単語に怪しさを感じるかもしれませんが、今までのワクチンにも当然「mRNA」が入っていたけど、その純度を上げて余分な反応が起きないようにしただけなのです。
簡単な話に聞こえますが、実はこのmRNAが非常に壊れやすいので、ワクチンとして使えるようになるまで大変な研究がされていたんですよね…
ワクチンの仕組みについてはコチラがわかりやすいです。
ワクチンを打たないときのデメリットについて知っておいた方がいいよね
ワクチンについて理解が進んだ今、「そういうことなら打っても良いかな」と気持ちが変わってきた方は是非接種を検討してみてください。
一方で、「やはり新しいものは心配」という方もいらっしゃると思います。
心配、不安なので「ワクチンは打たない」と決める前に、ワクチンを打たなかったら将来安心なのかどうか考えてみてはどうでしょうか。
過去を振り返って新コロ感染者が日本でも確認された2020年、未知のウイルスが都市で蔓延し始め、緊急事態宣言が出されました。
マスクがなくなり、アルコール消毒液がなくなり、感染対策に敏感になっていました。
重症になると若年者であっても人工呼吸器で呼吸をするようになり、それでも治らない場合は残念ながら亡くなってしまう。
治ったとしても息苦しさが続いたり、においや味や分からない後遺症が残ってしまって苦しむ方もいる。
ただの風邪とは言えない症状、経過をたどることがわかりました。
我々に「自粛疲れ」はあるかもしれませんが、ウイルスの方は休むことなく変異株を生み出し、むしろ以前より危険な存在になっています。
今ワクチンで対抗しているのが、まさにそのウイルスです。
今後の流れを予想すると、ワクチン接種が進むことで新規発症者が減少して飲食店の規制やマスク着用義務が解除されると思います。
これは既に海外で実現していることです。
ここで覚えておくべきなのは、「新コロは相変わらず存在している」ということ。
ヒトからヒトへ感染もします。
ただ、ワクチン2回目接種から7日以降の新コロ発症は、新コロ感染歴の有無を問わない場合でも94.6%のワクチン有効率が確認されています(厚労省資料より)。
新コロが体内に入って「感染」しても、免疫が素早く反応して「発症」に至る可能性が随分下がるのです。
この状況でワクチンを打たず、マスクをしない丸腰で昔の日常生活を送ったらどうなるか。
当然ある程度の確率で新コロに感染し、ワクチン接種済の方に比べて高確率に発症します。
今までの統計から若年者の方が症状が軽いとされているものの、死亡したり後遺症が残りうることはご存知の通りです。
この感染のリスクは頭に入れておいた方が良いでしょう。
自分だけでなく家族や職場の方へ感染させてしまうため、感染リスクの高い行為は自制しなければならないという側面もありますよね。
2021年7月から「ワクチン接種証明書」の発行が予定されています。
用途は海外渡航者向けとしていますが、少なくとも海外渡航についてワクチンを打っているかどうかで区別されるということです。
この流れから考えると、ワクチン接種が進むにつれて、ワクチン接種証明書がないと行動が制限されてしまう可能性があるのではないかと思っています。
入店時のマスク着用のように、ワクチン接種証明書がドレスコードになるかもしれません。
「接種証明書がないと日常生活で不便だし、皆打ってるからやっぱり接種しよう」となるくらいなら、初めから打っておいて発症リスクを減らした方が良いですよね。
この行動制限というデメリットについても考えておいた方が良いのでは。
新しいことには不安がつきものだと思いますが、正しい情報を集めて状況を知ることで正確な判断ができるようになるのではないかと思います。
やらなければやった時に発生するデメリットを100%回避できますが、やらなかったことによるデメリットは忘れがちですよね。
そんなことを考えるきっかけになれば幸いです。