【あなたの健康のためにお酒について知っておこう】痛風が気になる方へ!

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「健診で尿酸値が高いと言われていて心配・・」

「家族や身の回りで痛風に苦しむ人がいて、次は私かも・・」

と心配が絶えない中、それでもお酒を楽しみたい・・

そんな方に知っておいてもらいたい、お酒と尿酸値に関する論文から役に立ちそうな情報をまとめてみました。

読むのが面倒な方は最後の結論を参考にしてください。

 

 

まずは尿酸値が変動するメカニズムを知ると、お酒がどのように影響してくるか理解できます。

お酒は醸造酒・蒸留酒ともに尿酸値を上昇させます。

そして、尿酸値が下がりそうな要因を論文から検索しましたので参考にしてみてください。

 

  • 尿酸値はどのように調整されているの?

プリン体を含む食事・お酒の摂り過ぎで尿酸値が高くなる、という話は有名かと思います。

ただ、それだけではないです。

体の細胞の中にもプリン体は含まれており、代謝されることで最終的に尿酸が生成されます。

つまり、新陳代謝によって、体の中から尿酸が生成され、かつ食事からも尿酸が摂取されているのです。

一方、尿酸が増え続けるわけにもいかないので、体外へ排泄されます。

排泄される尿酸のうち、約2/3は腎臓から、残りの約1/3は腸管から排泄されます。

尿酸の生産量と排泄量のバランスがとられることによって尿酸値が一定に推移するのです。

では、このバランスが崩れるとしたらどのような原因が考えられるでしょうか。

尿酸の生産量が増えてしまうケースとして、プリン体を含む食事・お酒の摂り過ぎが挙げられます。

尿酸の排泄が減ってしまうケースとして、腎臓からの排泄が減る、腸管からの排泄が減る、腎臓と腸管からの排泄が減る、といった3パターンが挙げられます。1)

それぞれのパターンで、遺伝子レベルでの原因が解明されてきており、新たな治療薬の誕生が期待されます。

 

  • お酒で尿酸値が上がる理由

お酒の中でもプリン体を多く含むビールを大量に摂取すると、尿酸値が上昇する原因になります。

ちなみにウイスキーにもわずかにプリン体が含まれていますが、ビールや日本酒など、その他のお酒とのわかりやすい比較が「痛風・尿酸財団」のホームページに載っています。

ビール、ダントツだな・・

プリン体とは別に、アルコールそのものの影響もあります。

アルコールの代謝については「【あなたの健康のためにお酒について知っておこう】肝臓の数値が気になる方へ!」を参照してください。

アルコールを代謝する過程で、NADという補酵素が還元されてできたNADHが増えると、ピルビン酸から乳酸への変化が進みます。

すると、乳酸が血中に増えることで乳酸アシドーシスを起こし、更に血液が酸性に傾くと腎臓から尿酸が排泄されにくくなってしまうため、尿酸値が上昇します。2)

アルコールの摂取は男女ともに高尿酸血症と有意に関連しており、痛風を引き起こすリスクであることが報告されています。3,4)

 

  • 尿酸値を下げるためには・・

結局、リスク承知でお酒、飲みますよね。(散々調べた私本人は飲みます。)

ではせめて尿酸値を下げる方法を知っておきましょう。

高尿酸血症となる原因は遺伝子レベルの個人差もありますが、生活習慣の影響もあるのでこちらを改善しましょう。

まずは食事。

肥満になるほどの食事量はプリン体を過剰に摂取するだけでなく、インスリンの分泌がより多く必要となることで尿酸の排泄が低下してしまいます。1)

そのため、総カロリー摂取量を下げ、肥満にならない食生活が重要です。

ただし、肥満改善のために無酸素運動で過激なダイエットを行うことも避けた方がよさそうです。

体内でエネルギーが消費されてできた産物が最終的に尿酸へと代謝されること、嫌気性代謝によって乳酸が増えるため腎臓から乳酸が排泄されにくくなってしまいます。1)

脱水によって腎臓の血流が減少すると、尿酸の排泄が低下してしまうので、十分量の水分を摂取する方がよさそうです。

食事因子と痛風や高尿酸血症のリスクとの関連を評価した研究では、乳製品や大豆食品が痛風や高尿酸血症のリスクを下げることが報告されています。3)

 

【結論】

痛風が心配でもお酒を飲みたい方へ

・痛風が気になるならビール以外のお酒をチョイス

・食べ過ぎに注意しながら水をよく飲み、つまみに乳製品や大豆食品をチョイス

 

 

<参考文献>

  1. 【高尿酸血症と痛風における生活指導の最前線-「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」より】尿酸代謝と高尿酸血症・痛風(解説/特集)Author:市田 公美(東京薬科大学 薬学部病態生理学教室)Source: 臨床栄養 (0485-1412)135巻2号 Page156-162(2019.08)
  2. 堤 幹宏. 【アルコール依存症】検査とその読み方 アルコール性肝障害. 臨床検査. 2012;56(13):1435-1440
  3. Dietary factors and risk of gout and hyperuricemia: a meta-analysis and systematic review.Li R, Yu K, Li C.Asia Pac J Clin Nutr. 2018;27(6):1344-1356.
  4. Causal effect of alcohol consumption on hyperuricemia using a Mendelian randomization design.Jee YH, Jung KJ, Park YB, Spiller W, Jee SH.Int J Rheum Dis. 2019 Oct;22(10):1912-1919.

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