消化器外科スタッフの平日:研修医時代を経て待ち受けていた生活とは<市中病院の勤務医>

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医師の生活、あまり知られていないかもしれません。

研修医は忙くて薄給というイメージがあるかもしれませんが、その後はどんな生活なのでしょうか。

例えばドラマでいうところの、ドクターXや医龍のようなイメージなのかな。

少なくとも、霧のかかった屋上で上裸になることはありません、とあらかじめ宣言しておきますw

 

外科スタッフになるまで

医学部を卒業して医師になると、まずは2年間の初期研修医時代を過ごします。

その後3-4年間、後期研修医(今は「専修医」制度になっている)として専門の科(総合内科とか心臓外科とか)へ進み、研修を行います。

この辺りの激務話は「現役外科医が語る:医者は激務?労働時間や給料、プライベートは?【研修医編】」を参考にしてください…

その研修が終わる頃に「専門医試験」があります。

研修が終わり無事に専門医になると、いよいよスタッフとして働くことになります。

(専門医を取得するかどうかは任意なので、専門医を持っていないスタッフも僅かながらいます。)

外科スタッフになるための就活はどうでしょう。

ここから先は様々な道があるので、あくまで私個人の辿った道について説明します。

あまりにも辛い研修生活を6年間終え、次は大病院ではなく中小規模の病院で働きたいな、と考えるようになりました。

ただ、海外協力を視野に入れていたので、まずは派遣活動を行っている赤十字病院へアプライしたところ、

現時点で先生の学年のスタッフは募集しておりません。

と。

おっ、これはもしや、就活難しいのか!?

と焦り始めた私は、「大学医局の派遣先でない」、「内視鏡外科技術認定医がいる」の2点に絞って探しはじめました。

医師派遣会社の方にも相談しましたが、最終的にはGoogle mapで片っ端から調べて、雰囲気が良さそうなところへ見学にいったところ、凄くウェルカムな感じだったので入職。

そんな力業で外科スタッフ生活を開始することになりました。

 

外科スタッフの生活は?

第一に言いたいのは、医者になって初めて人間らしい生活を送ることになった!ということ。

今まで一晩中電話で起こされ、必要に応じて病院に行って対応していた生活が嘘のように全く呼ばれない。

逆に心配になるほどでしたが問題なく管理できていました。

カルチャーショックを受けましたよ…

病院の外科系救急・病棟担当の当直医がうまく対応してくれていました。

この当直医の仕事も、中規模病院の二次救急だったのでそれほど大変でもなかったです。

という恵まれた環境の中、日中は主治医として外来に来た患者さんを診察して手術適応を決定し、手術の日程を組んで手術することが主な仕事になります。

中規模病院では化学療法も消化器外科が担当していたので、猛勉強してガイドラインに載っている一通りの化学療法を取捨選択したことはいい経験でした。

一日の流れは、

朝回診→手術(1日1-2件)→病棟管理→夕回診→終了

という感じです。

週に1回外来担当日があって、その日は外来だけで終わりますが、たまに緊急手術になることもあります。

手術の合間や夕回診後は手術治療や化学療法について勉強していることが多いです。

学会発表の準備や論文作成のため、夜まで残ってしまうこともありますが、22時までには帰るようにしていました。

学会や論文が一段落してからは投資の勉強を始めました(投資デビュー遅めか?)。

新しいことにチャレンジする余裕があるので、一日が充実して楽しいです。

しかも勉強中に病棟に呼ばれることが大分減ったので精神的にもかなり楽になりました。

その後、中規模病院から大規模病院に戻ったのですが、研修医の先生方が下についているのはイイですね。

今まで忙殺されていた雑用がなくなると、同じ病院なのか?と思うほどQOL上がります。

研究に力を入れるとそれ自体は忙しくなりますが、自分で時間配分をコントロールできるところは大きい。

ということで、ぶっちゃけ外科スタッフになって生活の質が上がりました、というのが結論です。

すると当然仕事終わりの酒飲みタイムも充実するわけで、コロナ前は週に5日は飲み屋をはしごしてました。

おかげさまで(?)他分野の領域で活躍する方々との出会いもあり、人生の幅が広がりました。

肝臓が犠牲になっていることはいうまでもありません…

居酒屋

 

研修医時代を振り返って

まずは業務について。

研修先は人生一度切りの選択なので、他の病院で研修したらどんな生活だったのかはわかりません。

話を聞く限りだと、忙しさにも随分差があるようです。

私の場合、雑務もさることながら、多くの症例を勉強できたことは忙しい中でも得るものがあって良かったと思います。

ただ、冷静になれば不要な雑務、手段が目的になっているような習慣に縛られ過ぎていたのではないか、とも。

効率よく仕事を回すために、不要なものを削ることが大事。

医師は医師免許があるからこそできる業務、意思決定に集中した方が組織として健全なんじゃないかな。

タスク・シフト/シェアが話題になり始めているのは良い風潮だと思います。

次に医療以外の勉強について。

病院勤務していると、様々な方と接することになります。

医療世界以外を知っておくことは自分の対応能力を広げる点で重要です。

資産運用のため投資の勉強を始めたことは良かったなと。

投資先の情報を勉強する中で、自然と色々な業種・業態について知ることができます。

社会の中での立ち位置みたいなものも少しずつ把握できるようになるというか。

お金の流れとか、収益化の仕組みとか、勤務医を続けているだけではあまり意識しなかっただろうな。

研修医、もっと欲を言えば学生のころから投資の勉強・実践経験は積んでおいた方が良かったかな、と少し後悔。

多少損失出しても構わないんですよ。やったことがあるかどうか、結果を考察して改善することが大事。

私が生涯における課題としている、「圧倒的な不条理、不平等感を解消する」ためには医学の知識だけでは解決できないので、結局色々勉強しなければいけない。

少し先を見据えて早いうちから動き始めると良いですね。

 

ここから先、更に昇進するとしたら、「部長」とか「教授」、「院長」クラスの話になってきて、管理者としての立ち振る舞いが求められると思います。

それはそれで、立場が変わってきて面白そうですね。

今の人格者部長を見ていると、果たしてこんな役回りを担えるか?とか思いますが…

「部長の日常」なんてのも、結構未知の世界な気がするので、その時が来たら発信してみようかな。

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