ジアルジアと免疫、熱帯・亜熱帯への旅行に際して知っておこう【USMLE STEP1】
日本でジアルジア症という病気を聞いたことがある人は少数派だと思います。
熱帯・亜熱帯地域に多い、Giardia lamblia の感染によって引き起こされる下痢性疾患です。
19歳男性が4か月続く下痢、嘔気、腹満感、体重減少を来し、近医で処方された抗生剤でも改善しない。
便を顕微鏡で診てみたら怪しい生物が…
という流れでUSMLE予想問題に出題されています。
便検査で診断がつかない場合に小腸を生検すると、粘膜ひだの委縮とcryptoのhyperplasiaを認めることも。
ジアルジアに対抗する免疫機構として、CD4+ T helper cellによって誘導されるsecretory IgA産生が重要。
Secretory IgAがジアルジアのtrophozoiteにくっつくこと、また、ジアルジアが小腸粘膜にくっつかないようにすることで感染を抑える。
よって、IgA deficiency, X-linked agammaglobulinemia, common variable immune deficiencyの子供は慢性経過のジアルジア症を引き起こし得る。
HIV感染者も注意。
ジアルジアの見た目から好酸球が活躍するのでは、と個人的に予想していたが、ジアルジア症において好酸球上昇は認めず、便中に白血球が検出されることも通常ないとのこと。
発展途上国でジアルジアに汚染された水を飲むこと、または糞口感染で伝染する。
男性同性愛もリスクとされている。
治療:
ジアルジアの治療には、メトロニダゾールやチニダゾールなどニトロイミダゾール系の薬剤が用いられる。これらはわが国では抗トリコモナス薬として薬価収載されており、本症に対しては健康保険の適用外である。
国立感染症研究所
とのこと。
そもそも日本でジアルジア診断したことないなあ…
かわいらしい見た目の割に悪さするので、発展途上国への旅行では注意してください。